【元調教助手が分析】安田記念 リチャードからの3連単を考えている人必見 あの馬は単なるスプリンターではない? 2/2

こんにちは、元調教助手のシロクマックスです。今回は安田記念を特集します。競馬が最近面白くて!競馬初めて1年です、というようなビギナーの方に競馬の付加価値のある情報を提供できる記事になっています。競馬はより多くの情報をしっているだけで、何倍にも楽しくなります。それは必ずしも競馬新聞の馬柱には載っていない情報だったりします。また、大ベテランの血統マニアの方にも楽しんでもらえる内容になっていますので、そういう方はお手柔らかにご覧ください。本記事は2/2後半記事になります。前半は下記リンクから。全部読むと安田記念が3倍楽しくなります!

【元調教助手が分析】安田記念 リチャードからの3連単を考えている人必見 あの馬の体調次第で逆転まである 1/2

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レッドファルクスをスプリンターと解釈するのか?

スプリンターズSを連覇しているレッドファルクスですが、筆者は必ずしも同馬をスプリンターとは見なしていません。スピードの絶対値があるので1200mでも勝っていますが、本質的には1600m~2000mくらいでも走れる馬だと考えています。

気性や脚質などいろいろな点から厩舎サイドでレースを選定しているので、こなせる距離=勝ち負けの距離ではないということです。かつてサクラバクシンオーを手掛けた故・境勝太郎調教師はバクシンオーの事を、本当なら2000mくらいでもいい馬ですが、私がスプリンターにしたんです、調教でそうしました、とインタビューで答えていました。

実際同馬の父のサクラユタカオー産駒はエリザベス女王杯を勝ったサクラキャンドルや、安田記念に優勝したエアジハードなど、距離の融通は配合と調教次第でどうとでもなるような、かなりポリバレントな種牡馬でした。レッドファルクスも、たまたま1200mでG1を2勝していますが、僕は十分1600mでもG1級で勝ち負けできる能力を持っていると考えています。脚質がややもたつくせいか、毎回後ろからになってしまうのが取りこぼしが生まれる原因です。

最近は年齢を重ねるにあたって、ずぶさも出てきて、もはや1200mは忙しすぎるのでは?と思います。むしろ現状1600mの方が競馬はしやすいと考えます。1200mですと、さすがに置かれ過ぎて追い込んでも間に合わない感じがします。17年に道悪の京王杯SCを58㌔を背負いながら横綱競馬で勝利しているように、カンカン泣き(重い斤量を背負うと成績が出せない馬)こともなく、道悪でもパフォーマンスが落ちないことから、スピードとパワーを兼ね備えた素晴らしい快速馬と言えます。

ただし、昨年あたりから使い込んでの競馬では良績が出ていません。勝っているのは休養明けか、あるいは間隔をあけてフレッシュな状態で競馬した時に限ります。今回、2月の阪急杯、3月の高松宮記念と使った後(2走目は凡走)、しっかりと間隔をあけて調整してきているので、今回はフレッシュな状態での参戦が望めるでしょう。かつてのチャンピオンマイラーのニホンピロウイナーも、クラシックを皐月賞で20着と大敗した後、しばらくは1400mから1600mの競馬で良績を収めていましたが、(マイルSC,安田記念に優勝)引退直前の6歳のシーズンの秋は1800mの毎日王冠(4着)から2000mの天皇賞秋(3着)へと距離をのばして、距離の限界を払拭する好走をしています。(引退レースはマイルCSに優勝)

レッドファルクスの血統を分析

父のスウェプトオーヴァーボードはアメリカ産で、現役時代は重賞4勝、うちG1はメトロポリタンH(1600m)、アンシェントタイトルH(1200m)の2勝です。1200mから1600mで良績を上げたスピード馬ですね。日本に輸入されたエンドスウィープ産駒です。

日本はフォーティナイナーから始まって、エンドスウィープ、スウェプトオーヴァーボードと、このラインはさんざん導入しましたね。直系のラインはアドマイヤムーンのみでしょうか?スイープトウショウを始め、エンドスウィープが距離適正にも幅があり、大成功しました。

フォーティナイナーはダート競馬に良績が集中した感がありますね。クーリンガー(マーチS)ユートピア(南部杯連覇)などが代表産駒です。エンドスウィープの方が芝でも成績をだしていますね。スウェプトオーヴァーボードは、圧倒的なスピードで、芝でもダートでも1200mを中心に堅実に走る産駒を排出していましたが、2017年の11月6日に死去したとのニュースが報道されました。以下TDN(アメリカの業界日報です)11月7日号より筆者がゆるく翻訳。いいですか、ゆるくですよ。

G12勝nスウェプトオーヴァーボードが、日本でなくなったことが分かりました。日本のブリーダーズスタリオンの20頭いる種牡馬の一頭でした。同馬はフロリダ産、Harry T. Mangurian, Jr氏の生産で馬で、99年の2月のOBSセール(ブリーズアップセール)でNarvick International に52.5万ドルで売却されました。

スウェプトオーヴァーボードその後6走し、重賞サンミゲルSの勝馬としてJohn Paul氏のグループに70万ドルで購入(転売)されました。Craig Dollase師の管理馬としてさらに14戦し、この葦毛馬は8勝をあげました。G1勝ちは2001年のアンシェントHと2002年のメトロポリタンHです。メトロポリタンHが同馬が挑戦した唯一のマイル戦で、他のすべてのレースは1400m以下でした。生涯獲得賞金は1.137.767㌦で、(一億円超えです)引退後は2002年に日本に売却されました。

8頭のステークスウィナーを排出し、代表産駒にG1スプリンターズS2勝のレッドファルクス、G2勝馬フロレンティノ、そしてG3勝馬のパドトロワ、そしてアーバンストリートがいます。

スウェプトオーヴァーボード自身が距離の限界を突破したチャレンジングな馬だったのですね。エンドスウィープ系はサンデーサイレンス系とも相性が良いですが、母父がサンデーサイレンスですので、種牡馬としてはサンデーサイレンスの3代目の繁殖牝馬からの交配になりますね。

アドマイヤムーンも母父がサンデーサイレンスで、配合相手がやや限定されてしまうのが残念です。その点、キンカメはやはり強いですね。

母のベルモットはレガシーオブストレングスにサンデーサイレンスという血統から、サイレントハピネス、スティンガーの妹にあたりますね。藤沢厩舎にゆかりの血統です。レガシーオブストレングスは米3冠馬affirmedの肌です。そこにサンデーサイレンスですから、親子2代でケンタッキーダービー馬が配合されていることになります。レッドファルクスの父もバリバリのアメリカ産馬なので、レッドファルクスは日本で走ってはいますが、完全なアメリカンホースです。

速いわけです。サイレントハピネスは2000mの重賞勝ちがありますし、スティンガーも阪神ジュベナイルフィリーズを赤松賞からの連騰で勝つという離れ業を演じ、またオークス4着天皇賞秋でスペシャルウィークの4着と、幅広い距離で活躍した名馬でした。従って、レッドファルクスも母系からある程度スタミナは引き継いでいると考えるのは無理な話ではないですし、写真を見る限りスプリンターっぽい体つきでもないので、実は1600mが一番走りやすい、なんていうことも考えられます。

レッドファルクスは勝てそうか?

3着以内に突っ込んでくる確率が極めて高いと言えます。今回は2ヶ月以上間隔をあけての出走なので、フレッシュな状態で競馬できるでしょう。スピードに疑いの余地はなく、脚質的に後ろからの競馬になるようだと、展開の助けが必要になってきます。単なるスプリンターではありません。ただし、前半でも触れたように1400m→1600mよりは2000m→1600mの方が府中の1マイルは良績が残せます。JRAからの引用記事を用意してあります。参照してみてください。

 

スーパー上がり馬ムーンクエイクのとらえ方

この馬を分析する時に一番最初に目がいうのは去勢された騙馬だということですね。手術は3歳の6月です。騙馬が多いオーストラリアでは2歳から騙馬にすることも多く、3歳の6月に去勢手術を受けたのは、別段早くはないですね。

気の悪さがジャマをしてレースで結果がでないよりは取ってしまった方が良いでしょう。成績を残せなければ種牡馬としての価値もありませんし、種牡馬として余生を過ごせるのは同じ年に生まれた牡馬の3%~5%くらいであることを考えると、最初から種牡馬ありきの超良血馬でもない限り、別段とってしまって問題はないと思います。むしろ海外競馬の方が長い僕としては、繁殖の予定もない成績頭打ちの牡馬を、なぜ去勢もせずに現役を続行するのか日本の競馬事情がよくわからない部分もあります。

男性ホルモンの分泌のある、なしは取り扱う方としては全然違いますからね。やっぱり乗っていても、牡に乗るときは牝馬に近づかないよう気をつけたりしました。逆に牝馬にまたがっている時に、他厩舎のライダーから「俺が乗っているのはナッツがついてるからそれ以上近づくなよ」と調教場で声をかけられたりしました。

成績が安定し始めたのは去勢手術からおよそ半年後の2017年に入ってからですね。4歳になって馬に身が入りつつ、気性も安定してきた、というところでしょうか。いくら素質馬と言えど、3連勝以上するのは至難の業です。特にJRAのレースで条件を上げながら3連勝するのは圧倒的にそのクラスでは能力が抜けていないとまず無理です。

特に1000万下と1600万下の間にはかなりの能力の壁があります。1600万下の場合、OPからの降格組も混じっていますし、1000万下を勝って、すぐに1600万下で勝ち負けできる馬は多くはありません。それくらい走破タイムに差があります。

本馬の場合、気性的な難しさを除けば最初からOP級のギャロップは可能だったとみるべきで、身体的に急成長したというよりは、レースで能力をちゃんと発揮できるようになってきた、という表現が正しいと考えています。もちろん馬体も成長しているはずですし、精神的な成長と馬体の成長の二乗作用で急激なジャンプアップを果たした馬でしょう。

重賞初挑戦の京王杯SCでいきなりレコードタイムで勝利ということからも、持って生まれたスピードの絶対値は確実にG1級のものですし、若馬の時代に激しい競馬をしていないことからも、まだまだ能力の天井は見せていない、ダークホースと言えそうです。好調の波に乗っていることは間違いないので、このまま一気に突き抜ける可能性は十分ありますが、後はG1の舞台ですでにクラシックを戦ってきた馬や(リチャード)G1タイトルホルダーの馬たち(リアルスティールやレッドファルクスなど)、歴戦の猛者たちに格の付けあいで負けなければよいなと思います。

馬には馬のコミュニティがあります。野生の動物は必ず格の付けあいをするので、キャリアの浅い馬がいきなり多頭数の重賞レースに出走したりする場合、飲まれてしまって競馬をする前に馬がシュンとしてしまったりということがあります。角馬場で、一番人気の馬に、騎手が扶助をいれても近寄ろうとしないとか…「あいつめっちゃ怖い…近寄りたくないな…」みたいなのは、馬同士あります。いい意味でジャイアンのような馬はどこへ行っても強いので、あまり優しすぎる馬も競馬ではマイナスです。出木杉君はケンカ弱いはずです。ちょっとヤンチャなくらいがちょうどよかったりします、競馬ですから。

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